熨斗って何??何だろう熨斗?

「熨斗」の読み方をご存じでしょうか?

答えは「のし」です。

のし紙とか、のし袋の「のし」です。のし紙とかのし袋のどこに熨斗があるかというと右肩の長六角形の真ん中に包まれた黄色い物が熨斗なのです。

今はセルロイドや樹脂で出来たものに置き換えられていますが、元の姿はあわびをのした熨斗あわびなのです。

熨斗あわびとはどんなものでしょう?

あわびを薄く剥いて乾かし、竹筒など円筒形のもので伸ばしたものを言います。遠い遠い昔から、不老不死の妙薬・寿命を延ばす・商売を伸ばすとして贈る物も贈られる物もこの世に存在する贈り物の中でいちばんの最高級品でした。

思い浮かべてみてください。開店祝いの生花の名札や大漁旗に、赤や黄色のかんぴょうを束ねたような模様を見たことありませんか?

婚礼衣装にも花や御所車をあしらった熨斗模様がたくさん取り入れられています。あれが束ね熨斗(たばねのし)と言われる模様です。もう忘れ去られてしまいそうですけど、しっかりと今に日本文化を伝えています。

熨斗あわびの由来

熨斗あわびは全国各地で作られていました、勿論ルーツは鳥羽国崎の神宮へ奉納している大身取り小身取り玉貫といわれる御神饌ののしあわびなのですが、国崎ののしあわびは神宮以外にはこの2000年のあいだ出回っていないのです。

それが御贄(みにえ)国崎の約束なのです。ですから昔から伊勢の大神の食べる熨斗あわびを食べたい、御利益に長寿にあやかりたい願望があったのでしょう。

なかでも室町以降では、武士達が「敵に打ち・勝ち・よろこぶ」と熨斗あわびを尊ぶようになりました。

ところで、何故「伸しあわび」ではなくて「熨斗あわび」なのか?といいますと、

伸ばす道具に由来します。

国崎では竹筒などの円筒形のもので伸ばすわけですが、他の地では別な道具が使われました。それは熨斗という道具です。

熨斗(火熨斗)= アイロン 火熨斗を使って伸ばしていた所もあり、熨斗で伸ばした鮑を『熨斗鮑』と呼ぶようになりました。

室町の武家社会はせわしく「のしあわび」と呼ぶことを煩わしく簡略して「ノシ!!」と呼ぶようになりました。

たとえば、出陣の『三献の儀』出陣前の慌ただしい中で厳かに行われますが、家臣一同揃ったところで大将か軍師が「ノシをもてぃ!!」と三献の肴(打ち鮑、勝ち栗、昆布)を賠膳役が運んだのではないでしょうか?

伊勢志摩兵吉屋で作っている本物のし袋伊勢熨斗は伊勢志摩で海女が素潜りで獲った鮑を薄く剥き乾燥させ熨斗あわびを作り、手漉き檀紙を折った本格派の祝儀袋に付けました。

先様の健康長寿・繁栄を願い祈る贈り物に是非伊勢熨斗をお使いください。

参考資料:みのかも文化の森