三献の儀(さんこんのぎ)

室町時代より武士は出陣の時、打ちあわび、勝ち栗、昆布の三品を肴に酒を三度づつ飲みほす儀式がありました。

これを『三献の儀(さんこんのぎ)』或いは『式三献(しきさんこん)』と言い、宮中の儀式であったこの三献が武士の出陣・婚礼・式典・接待宴席などで重要な儀式となりました。

とくに出陣に用いる三献は三つ目の杯を飲み乾した後、地面に打ち付けて割り、軍扇を広げ弓を持ち大将が鬨(とき)の声を『エイ!エイ!オーッ!!』と挙げ陣営を鼓舞する意味合いがありました。

打ち鮑は剥いて干した身を打ち伸ばしたもので敵を討ちのばすの意味が含まれています。当時から高タンパク質低カロリーの食品である事が
すでに理解されていて重宝がられていました。

現在では、正月の飾りや来客のお迎え、結婚式の三三九度、選挙の出陣式、端午の節句や七五三、祭りなどに形をとどめています。

蓬莱飾り

蓬莱に聞かばや伊勢の初便り 芭蕉

蓬莱飾りとは、中国の東海にある理想郷の島蓬莱山を真似て正月に床の間の飾りにしました。三宝の上に洗い米を敷き、ウラジロ、ユズリハ、松竹梅、お餅、橙、干し柿、ホンダワラ、伊勢えび、熨斗あわび、勝ち栗、昆布等を飾ります。

飾り手のセンスを競っていたのかも知れませんね。

上の句は、正月江戸深川で蓬莱飾りを見た松尾芭蕉が目出度い飾りの伊勢エビ、鮑などの海の幸を見て自分も2度訪れた伊勢を思い出し、まるで伊勢から初便りが届いたようだ。伊勢から初便りが届くとは新年から縁起がよいとの思いを表した句です。

芭蕉は徐福の探した不老不死の薬アワビがたくさん採れることなどから蓬莱山は伊勢なのかも?と思ったのかも知れませんね。この目出度い飾りも、原型は三献の儀です。やがてはおせちへと食べられるものに進化をしていきます。